GC-MSの選び方 ― EIライブラリは1化合物1.1スペクトルで足りるのに、MS/MSは47スペクトル要る【2026年版】
シングル四重極の GC-MS と、三連四重極の GC-MS/MS。カタログを並べると後者が全面的に優れて見える。 だが NIST が公開している二つのライブラリの数字を並べると、そう単純ではないことが分かる。 EI ライブラリは 394,054 スペクトルで 347,100 化合物、MS/MS ライブラリは 240 万スペクトルで 51,505 化合物。 スペクトル数では MS/MS が 6.1 倍多いのに、化合物数では EI が 6.7 倍多い。 1化合物あたりに直すと、EI は 1.1 スペクトルで足りるのに MS/MS は 46.6 スペクトル要る ―― 41 倍である。 この非対称は 70 eV という単一条件に由来し、そのまま「知らない化合物を当てられるか」の差になる。 本記事は NIST のライブラリ統計と EPA Method 8270E の条文を原典で確認し、 MRM が何を手放す操作なのかを、公定法の中での扱いの違いまで含めて整理する。