質量分析(MS, Mass Spectrometry)は、分子をイオンにして「質量/電荷比(m/z)」で測り分ける手法です。 微量の同定・定量に圧倒的な力を持ち、創薬・プロテオミクス・代謝・食品・環境・臨床・遺伝子治療まで広がっています。
その速度がいまどこまで来ているかを、数字で一つ挙げます。2026 年に Journal of Proteome Research に載った Orbitrap Astral Zoom の評価では、1 日 300 検体(300 samples-per-day)の解析条件で、ヒト細胞ライセート 1 検体から 約 100,000 種のユニークペプチドと 8,400 種を超えるタンパク質が同定されています。
計算(筆者による):1 日 300 検体は、24 時間 × 60 分 ÷ 300 = 1 検体あたり 4.8 分。 その 4.8 分のあいだに、8,400 種を超えるタンパク質を見分けている計算になります。
同じ論文はさらに、2.7 時間で 12,000 種超、1 日 500 検体(1 検体 2.9 分)でも 7,000 種超のタンパク質を 同定できたと報告しています。数年前まで「深く測る」と「速く測る」は交換関係にありましたが、 それが同時に成り立つ段階に入りました。
本記事は新製品の羅列ではなく、「なぜその装置がそこまで速く・高感度になったのか」という原理から最新動向を理解することを目指します。
この記事の読み方:第1章でMSの性能指標と装置構成を押さえると、後段のAstralやtimsTOFの凄さが具体的に分かります。 入門の方は第1章・各章冒頭・まとめ・用語集から。専門家の方は各アナライザーの原理、解離法、取得戦略、 ネイティブMS、空間オミクスの各論を深掘りしてください。
1. MSの基礎 ― 何を、何で競っているのか
質量分析計は 「イオン化部 → 質量分析部(アナライザー) → 検出部」 からなります。性能を語る指標は主に5つです。
- 分解能(Resolving Power):近接する m/z をどれだけ分離できるか(R = m/Δm)。
- 質量精度(Mass Accuracy):測定値が真値にどれだけ近いか(ppmで表す)。低ppmなら組成推定が可能。
- 感度・スピード:微量を、どれだけ速く・たくさん測れるか(MS/MSの走査速度=Hz)。
- ダイナミックレンジ:同一スペクトル内で、高存在量と微量を同時に捉えられる幅。
- 分離の次元:m/z だけでなく、形・大きさ(イオンモビリティ)でも分けられるか。
イオン化法
- ESI(エレクトロスプレー):LCと相性が良く、タンパク質など大きな分子を多価イオン化。生体分析の主役。
- MALDI:マトリックスと共結晶化した試料にレーザー照射。イメージングや高分子に強い。
- アンビエント(DESI/DART):前処理ほぼ無しでその場測定。
アナライザーの類型
四重極(QQQ)、イオントラップ、飛行時間型(TOF)、Orbitrap、FT-ICR、そして新しいAstral。 ルーチン定量はQQQ、高分解能はOrbitrap/FT-ICR/TOF、と役割分担してきました。近年の革新は、 「高分解能を保ったまま、TOF級の速度・感度を得る」方向に集約されています。
2. アナライザー革命 ― Orbitrap Astralの原理
構成:四重極 + 高磁場Orbitrap + Astralアナライザー
Thermo Fisherの Orbitrap Astral(2023年登場)は、四重極マスフィルター、高磁場Orbitrap、そして 新規のAstralアナライザーを組み合わせたハイブリッド機です。Astral = ASymmetric TRack Lossless (非対称トラック・ロスレス)の略で、その名が原理を表しています。
なぜ速く・高感度なのか:30mの非対称トラックとロスレス伝送
Astralアナライザーは、一対の細長い非対称イオンミラーを持ち、イオンはその間で多数回の振動を繰り返しながら、 初期の傾きによってミラーの長手方向へゆっくりドリフトしていきます。実効飛行距離は約30mに達し、 高い分解能を生みます。最大の特徴はロスレス(低損失)伝送で、入射イオンの80%以上を検出できます (従来型では1〜5%程度)。この「ほとんど捨てない」性質が、高い感度と高速取得を同時に実現する核心です。
補足:従来のオルソゴナル加速TOFは、デューティサイクル(実際に検出に使えるイオンの割合)が低く、 高速化すると感度が犠牲になりがちでした。Astralはロスレス設計とAGC(自動ゲイン制御)により、 スペクトル平均化に頼らず、高速でもダイナミックレンジとデータ品質を保てます。
並列取得:Orbitrapで高分解能MS1、Astralで高速MS2
運用上の妙は、OrbitrapとAstralを並列に走らせる点です。Orbitrapで高分解能のMS1(精密質量)を取りながら、 Astralで高速・高感度のMS/MS(MS2)を回します。これにより、Astralは>200 HzのMS/MS走査、低ppmの質量精度を実現。 DIA(後述)では、長年の標準だったOrbitrap単体機に対し、単位時間あたり約5倍のペプチドを定量できると報告されています。 総じて、従来Orbitrapの約10倍の速度・感度・分解能という評価です。
後継:Orbitrap Astral Zoom と Excedion Pro
後継機 Orbitrap Astral Zoom(および Orbitrap Excedion Pro)の性能は、査読論文に具体的な数字で示されています。 原著の要旨はこうです。
The Orbitrap Astral Zoom MS achieves ultra-fast MS/MS scan rates of up to 270 Hz with enhanced ion utilization through pre-accumulation, enabling the identification of ∼100,000 unique peptides and >8400 proteins in a single 300 samples-per-day analysis of human cell lysate. The optimized system reduces analysis time by 40%, achieves near-complete proteome coverage (>12,000 proteins) in 2.7 h, and enables ultra-high-throughput workflows, identifying >7000 proteins in a 500 samples-per-day method with exceptional reproducibility (pairwise Pearson correlations >0.99).
(Journal of Proteome Research, 2026(PMC12914409)。訳・強調は筆者:MS/MS 走査速度は最大 270 Hz、 事前蓄積でイオン利用効率を高め、1 日 300 検体の条件で約 100,000 種のユニークペプチドと 8,400 種超のタンパク質を同定。 最適化により解析時間を 40 % 削減し、2.7 時間で 12,000 種超のタンパク質、1 日 500 検体でも 7,000 種超を、 ペアワイズの Pearson 相関 0.99 超の再現性で同定)
鍵は事前蓄積(pre-accumulation)です。Astral アナライザーが前のパケットを解析しているあいだに次のイオンを溜めておき、 待ち時間を使い切る。イオンを捨てないというロスレスの思想を、時間軸にも延ばした形です。
⚠️ 原著の「reduces analysis time by 40%」は「解析時間を 40 % 削減」であり、 「スループットが 40 % 向上」と同じ意味ではありません(時間が 60 % になれば処理量は約 1.67 倍)。 本記事の初出時にはこれを「スループット約 40 % 向上」と書いていましたが、原著の表現に改めました。 また前世代比の「走査速度約 35 % 高速」「多重化能力約 50 % 拡大」は、この論文の要旨には含まれていません (未確認・限界の節を参照)。
3. イオンモビリティ ― timsTOFと4Dプロテオミクス
TIMSの原理:質量に独立した「形・大きさ」の分離軸
Brukerの timsTOF は、TIMS(Trapped Ion Mobility Spectrometry, トラップ型イオン移動度) とTOFを組み合わせた装置です。 イオンモビリティは、イオンがガス中を移動する速さ=衝突断面積(CCS, Collision Cross Section)=形・大きさで分離する技術で、 m/zとは独立した分離軸になります。TIMSはガス流でイオンを押し、電場でせき止めて溜め、電場を緩めて 大きさ順に放出する方式で、CCSを最大0.1%の精度で再現性高く測れます。
PASEFと4D ― 速度を落とさず感度を上げる
timsTOFの核心が PASEF(Parallel Accumulation–Serial Fragmentation, 並列蓄積・逐次断片化) です。 TIMSでイオンを大きさ順に整列させ、四重極をそれに同期させて次々と断片化することで、 感度を落とさずにシーケンス速度を倍増させます。得られる特徴量は、 保持時間 × CCS × m/z × 強度の4次元(4Dプロテオミクス)。CCSという独立軸が加わることで、 同重体・夾雑の多い試料でも選択性が上がります。
dia-PASEFと最新機
dia-PASEF はDIA(後述)とPASEFを統合し、ほぼ100%のイオンサンプリング効率を達成します。 最新の timsTOF Ultra は、dda-PASEFを300 Hzまで高速化し、毎分最大18,000のCCS付きMS/MSスペクトルを取得、 VistaScan により dia-PASEF 4Dプロテオミクスを強化しています。さらにBrukerは proteoformics(同一遺伝子由来の多様なタンパク質アイソフォーム解析)を掲げ、 イオン濃縮や機械学習による同位体分解を備えたtimsOmni、代謝物網羅のtimsMetaboなどの新世代機を展開しています。
4. 解離法の多様化 ― 構造・修飾・トポロジーを読む
MS/MSでイオンをどう壊すか(解離法)が、得られる構造情報を左右します。定番のCID/HCD(衝突誘起解離)に加え、 近年は電子・光・表面を使う多彩な解離法が実装されています。
- EAD(Electron Activated Dissociation, 電子活性化解離):SCIEX ZenoTOF系が搭載。 ペプチドの翻訳後修飾(PTM)の局在決定、脂質の二重結合位置、異性体の識別に強い。
- ETD / ECD(電子移動/電子捕獲解離):ペプチド骨格をc/zイオンで切り、PTMを保ったまま配列決定。
- UVPD(紫外光解離):高エネルギー紫外光で多様な開裂を誘起。トップダウンや脂質に有用。
- SID(表面誘起解離):イオンを表面に衝突させ、非共有結合の複合体をサブ複合体へほどく。 ネイティブMSで複合体のトポロジーを読む(後述のAAVカプシド解析など)。
SCIEX ZenoTOF
SCIEXの ZenoTOF は、Zenoトラップでイオンの取りこぼし(デューティサイクル)を改善し感度を底上げしたTOFで、 EADとの組み合わせが特徴です。上位機 ZenoTOF 8600 は2025年のASMSで公開され、受注・設置も進んでいます。
5. 取得戦略 ― DDA / DIA / 狭窓DIA
同じ装置でも「どう測るか(取得法)」で結果が大きく変わります。
- DDA(Data-Dependent Acquisition):MS1で強いイオンを選んでMS/MS。再現性に弱点(測るたびに対象が変わる)。
- DIA(Data-Independent Acquisition):一定の質量窓をまとめて断片化し、網羅的に取得。再現性・定量性に優れる。
- 狭窓DIA(narrow-window DIA, nDIA):DIAの質量窓を細かくし、スペクトルの複雑さを下げて同定深度を高める。 Astralの超高速MS/MSと組み合わさり、ラベルフリー定量の網羅性を飛躍させた(Nature Biotechnology, 2023)。 血漿グライコプロテオームの高速・高深度解析(Astral nDIA, 2024)など応用が広がる。
- 多重化(TMT):同重体タグで複数試料を1回の分析に束ね、スループットを上げる。Astral上でのTMT多重化も実証。
6. ネイティブMS・電荷検出MS(CDMS) ― メガダルトンを測り、遺伝子治療を支える
ネイティブMSとは
ネイティブMSは、タンパク質や複合体を非変性条件(折りたたまれたまま・非共有結合を保ったまま)でイオン化し、 そのままの状態で測る手法です。複合体の化学量論やトポロジーを直接観測できます。
電荷検出MS(CDMS)とAAV遺伝子治療
巨大で不均一な対象(メガダルトン級)では、通常のMSは電荷状態が分からず質量を決められません。 CDMS(Charge Detection MS)は、単一イオンのm/zと電荷を同時に測ることで、直接質量を求めます。
これがAAV(アデノ随伴ウイルス)遺伝子治療の品質管理で重要になっています。
- AAVカプシドは約3.7 MDa。CDMSは空カプシド/フル(ゲノム封入)カプシドの比を直接評価でき、製剤の重要品質特性になる。
- Orbitrapベースのマルチマス解析でAAVの多様性を分解、SIDでカプシド(約3.7 MDa)を 三量体含有フラグメント(3量体・6量体・9量体…)へ解離してトポロジーを読む研究も。
- ネイティブ電子捕獲・電荷低減でm/z 20万を超える巨大バイオ医薬の重なり合うシグナルを解きほぐす手法も登場。
抗体医薬・核酸医薬・遺伝子治療の伸長を背景に、ネイティブMS/CDMSは「巨大で不均一な医薬品を丸ごと測る」基盤になりつつあります。
7. 空間オミクス ― 単一細胞とイメージングMS
「どこに、何が、どれだけあるか」を組織上で可視化するMSイメージング/空間オミクスが急進展しています。
- MALDI-MSI(単一細胞解像度):2024年のプロトコルでは、約400 nmのマトリックス結晶で単一細胞のタンパク質を イメージングし、約7,800細胞/日のスループットを達成。単一乳がん細胞から89のペプチド様特徴を検出した例が報告。
- 空間マルチオミクス:同一組織切片でMSI代謝物イメージング + イメージングマスサイトメトリー(免疫表現型)を統合し、 単一細胞解像度で代謝の不均一性を可視化(Nature Methods, 2024)。
- 組織拡大法:MALDI-MSI適合の組織拡大(約2倍)で、亜細胞・単一細胞レベルの形態解像を高める試み。
- DESIなど前処理の軽いアンビエントイメージングも創薬・病理で活用。
感度・空間解像度・取得アルゴリズム・マルチオミクス統合には改良余地が残るものの、機械学習との組み合わせで 亜細胞レベルの空間オミクスへ向かっています。2025年のASMSでも、これらが複雑化する課題への新技術の中心でした。
8. 応用の広がり
- プロテオミクス:Astral nDIA / dia-PASEF で深度とスループットが両立。シングルセル・血漿への展開。
- メタボロミクス/リピドミクス:高分解能+イオンモビリティ+EADで異性体・二重結合位置まで。timsMetaboなど。
- グライコプロテオミクス:糖鎖の不均一性を高速nDIAで網羅。
- バイオ医薬・遺伝子治療:ネイティブMS/CDMSでmAb・ADC・AAVの完全性、空/フル比を評価。
- 臨床・食品・環境:QQQによる高感度ルーチン定量は引き続き基盤。
9. 分析者の視点 ― どこに効くか
- プロテオミクスの深さ × スループット:Orbitrap Astral / Astral Zoom(nDIA)、timsTOF Ultra(dia-PASEF)。
- 異性体・夾雑が多く m/z だけでは分けきれない:イオンモビリティ(timsTOF / TIMS、CCS軸)。
- PTM局在・二重結合位置・トポロジー:解離法を選ぶ(EAD / ETD / UVPD / SID)。
- 巨大・不均一なバイオ医薬(AAV、巨大複合体):ネイティブMS / CDMS。
- 組織上の分布を見たい:MALDI-MSI / DESI(空間オミクス)。
- 再現性の高いルーチン定量:QQQ(依然として臨床・食品・環境の主役)。
まとめ
- MSの性能は分解能・質量精度・感度/スピード・ダイナミックレンジ・分離次元で測る。最新革新は「高分解能のまま高速・高感度」へ。
- Orbitrap Astralは30mの非対称トラック+ロスレス伝送(80%超)とOrbitrap/Astral並列取得で、従来比約10倍・>200 Hz・DIAで5倍。
- Astral Zoom は査読論文(J. Proteome Res. 2026)で 270 Hz・事前蓄積・解析時間 40 % 削減、 300 SPD(1 検体 4.8 分)で約 10 万ペプチド/8,400 種超のタンパク質、2.7 時間で 12,000 種超、500 SPD でも 7,000 種超(Pearson >0.99)。 「深く」と「速く」が同時に成り立つ段階に入った。
- timsTOFはTIMS/PASEFで4D(保持時間×CCS×m/z×強度)、dia-PASEFでほぼ100%サンプリング、Ultraは300 Hz。proteoformicsへ。
- 解離法はEAD/ETD/UVPD/SIDへ多様化し、PTM・異性体・複合体トポロジーを読む。取得はDDA→DIA→狭窓DIA。
- ネイティブMS/CDMSがメガダルトンを直接測り、AAV遺伝子治療の空/フル比などQCを支える。
- MSイメージング/空間オミクスが単一細胞解像度(~400 nm, ~7,800細胞/日)へ。マルチオミクス統合が進む。
次回以降、各機種の具体的応用(創薬プロテオミクスのnDIA実例、AAVの空/フル比評価、MALDIイメージングの病理応用、 脂質二重結合位置のEAD解析)を個別に深掘りしていきます。
用語集(クイックリファレンス)
- m/z:質量÷電荷。MSが直接測る量。
- 分解能 R = m/Δm:近接ピークを分ける能力。質量精度(ppm)は真値との近さ。
- DDA / DIA / nDIA:取得戦略。DIAは網羅・再現性、nDIAは窓を細かくして深度向上。
- Astral(ASymmetric TRack Lossless):30m級の非対称トラックとロスレス伝送で高速・高感度・高分解能。
- TIMS / PASEF / CCS:トラップ型イオンモビリティ/並列蓄積逐次断片化/衝突断面積(形・大きさの軸)。
- 4Dプロテオミクス:保持時間×CCS×m/z×強度の4特徴量。
- 解離法(CID/HCD/EAD/ETD/UVPD/SID):イオンの壊し方。得られる構造情報が変わる。
- ネイティブMS / CDMS:非変性で測る/単一イオンのm/zと電荷を同時測定し直接質量を得る(メガダルトン対応)。
- 空間オミクス / MSI:組織上の分子分布を可視化(MALDI/DESI)。
- TMT:同重体タグによる多重化定量。
出典
- Grinfeld et al. ほか「Multi-reflection Astral mass spectrometer with isochronous drift in elongated ion mirrors」ScienceDirect — https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168900223010173
- 「Parallelized Acquisition of Orbitrap and Astral Analyzers Enables High-Throughput Quantitative Analysis」Analytical Chemistry — https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.analchem.3c02856
- 「Evaluating the Performance of the Astral Mass Analyzer for Quantitative Proteomics Using DIA」J. Proteome Res. — https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jproteome.3c00357
- Guzman et al.「Ultra-fast label-free quantification … narrow-window data-independent acquisition」Nature Biotechnology (2023) — https://www.nature.com/articles/s41587-023-02099-7
- 「Higher-Throughput Proteome Profiling … Orbitrap Astral Zoom」PMC — https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC12914409/
- Meier et al.「Online Parallel Accumulation–Serial Fragmentation (PASEF) with a Novel Trapped Ion Mobility Mass Spectrometer」MCP — https://www.mcponline.org/article/S1535-9476(20)32012-0/fulltext
- Bruker「timsTOF Ultra(300 Hz PASEF, VistaScan, dia-PASEF 4D-Proteomics)」 — https://www.biospace.com/bruker-launches-timstof-ultra-mass-spectrometer-with-transformative-sensitivity-300-hz-pasef-ms-ms-and-vistascan-for-enhanced-dia-pasef-4d-proteomics
- 「Multimass Analysis of Adeno-Associated Virus Vectors by Orbitrap-Based Charge Detection Mass Spectrometry」Analytical Chemistry — https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.analchem.4c05229
- 「Combining Surface-Induced Dissociation and Charge Detection MS to Reveal Native Topology of Heterogeneous Protein Complexes」 — https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jasms.5c00206
- 「MALDI MSI Protocol for Spatial Bottom-Up Proteomics at Single-Cell Resolution」J. Proteome Res. — https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jproteome.4c00528
- Ngai et al.「Highlight of Recent Advances and Applications of MALDI Mass Spectrometry Imaging in 2024」Analytical Science Advances (2025) — https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ansa.70016
注記:スペック・同定数・発表時期は各出典の発表・報告時点のもの。実条件(試料・カラム・前処理・装置設定)で結果は変わります。導入・手法検討時は最新のメーカー公式資料・査読論文で再確認してください。 2026-09-16 追記:Orbitrap Astral Zoom の性能値を原著(PMC12914409)の要旨で再確認し、 初出時の「スループット約 40 % 向上」を原著どおり「解析時間を 40 % 削減」に改めたうえで、2.7 時間で 12,000 種超・ 500 SPD で 7,000 種超・Pearson >0.99 を追記しました。「1 検体 4.8 分」は 300 SPD からの筆者の換算です。 未確認・限界と関連記事の節を新設し、タイトルの年号を末尾へ移しました。
未確認・限界
- 本記事の内容は 2026 年 6 月時点の調査に基づき、Astral Zoom の数値のみ 2026-09-16 に原著で再確認しました。 それ以外の性能値(timsTOF Ultra の 300 Hz、単一細胞 MSI の ~400 nm・~7,800 細胞/日 など)は初出時に各出典で 確認したもので、その後の改訂や新機種は反映していません。
- Orbitrap Astral の原理に関する数値(実効飛行距離 約 30 m、イオン伝送 80 % 超、従来 TOF の 1〜5 %、従来比約 10 倍)は、 今回の加筆時に原著(Grinfeld et al., NIM A, 2023; Anal. Chem., 2023)の要旨を直接再取得できませんでした (出版社サイトが 403 を返したため)。初出時の記述をそのまま残しています。「約 10 倍」はメーカーの評価表現に近いので、 条件を確認せずに引用しないでください。
- Astral Zoom の「前世代比で走査速度約 35 % 高速・多重化能力約 50 % 拡大」は、再確認した原著の要旨には含まれていません。 初出時にメーカー資料等から取った値と思われますが、出典を特定できなかったため本文からは外し、ここに記録します。
- 各機種の同定数(ペプチド・タンパク質)は、その論文の試料(ヒト細胞ライセート等)・カラム・勾配・データ処理に依存します。 横並びで機種の優劣を論じることはできません。
- メーカー間の性能比較は行っていません。Thermo(Orbitrap Astral 系)と Bruker(timsTOF 系)は設計思想が異なり、 同一条件での第三者比較を確認できていません。
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