タグ: #プロテオミクス

4 件の記事

プロテオミクスのDDA/DIA ― タンパク質の「FDR 1%」が妥当だと確かめられた組み合わせは、24件中ゼロだった【2026年版】
質量分析

プロテオミクスのDDA/DIA ― タンパク質の「FDR 1%」が妥当だと確かめられた組み合わせは、24件中ゼロだった【2026年版】

プロテオミクスの論文と報告書には、ほぼ例外なく「FDR 1%」と書いてある。だがその1%が本当に1%であることを、 分野はほとんど検証してこなかった。2024〜2025年にエントラップメント実験で検証されたとき、 タンパク質レベルの1% FDR 制御が「妥当」と判定できたツールとデータセットの組み合わせは、24件中ゼロだった。 本記事は、target-decoy を作った本人が「この値は個々の同定については何も言っていない」と書いている出発点から、 DDA が何を測っていないか、DIA が何を先に持ち込んでいるか、そしてペプチドの1%がなぜタンパク質の1%にならないかを、 一次資料と筆者自身の計算で順に追う。

イオンモビリティMS徹底解説 ― CCSは「測った値」ではない【2026年版】
質量分析

イオンモビリティMS徹底解説 ― CCSは「測った値」ではない【2026年版】

イオンモビリティMSは m/z に「形・大きさ」の軸を足す技術として普及したが、その軸の目盛である 衝突断面積(CCS)が何なのかは、しばしば誤解されている。分野の報告ガイドラインは一行でこう述べる ―― 「イオンモビリティが測っているのは移動度であって、表面積ではない」。移動度 K は SI にトレーサブルだが、 CCS はそこから数学モデルを通して導かれた量で、SI にトレーサブルではない。だからガイドラインは 「較正は CCS ではなく移動度で行え」と勧告する。分解能の数字にも同じ種類の罠があり、時間軸で測った Rp と CCS 軸で測った Rp は別物になる。本記事は報告ガイドライン原文・相互ラボ検証・2026年の SLIM対サイクリック直接比較を原典で確認し、DTIMS/TWIMS/TIMS/DMA/FAIMS の違い、分解能の読み方、 CCS がどこまで同定に使えるか、そして2026年の装置動向までを整理する。

AI・機械学習が変える分析化学 ― 正解率 69.6 % は、15 個の候補のどれかが当たった割合である【2026年版】
データ解析

AI・機械学習が変える分析化学 ― 正解率 69.6 % は、15 個の候補のどれかが当たった割合である【2026年版】

1D NMR から構造を当てる機械学習の報告は「69.6 %」という数字を出している。ただしこれは 1 発で当たる確率ではなく、候補を 15 個出したうちのどれかに正解が入っていた割合で、 裏返せば 15 個並べても約 3 割は正解を含まない。それでも探索空間は最大 11 桁縮む。 AI・機械学習は分析化学の「測る」より下流――スペクトルやクロマトグラムを読み解く 解析工程を急速に変えつつある。NMR からの構造推定、質量分析による未知化合物・ペプチドの同定、 クロマトの保持時間予測、複数手法をまたぐ「基盤モデル」までを手法別に整理し、あわせて 過学習・データリーケージ・再現性といった落とし穴と、分析者が果たすべき役割を解説する。

質量分析の最新技術動向 ― 1 検体 4.8 分で、8,400 種を超えるタンパク質が同定できる【2026年版】
質量分析

質量分析の最新技術動向 ― 1 検体 4.8 分で、8,400 種を超えるタンパク質が同定できる【2026年版】

質量分析(MS)の最新動向を、アナライザーの動作原理から徹底解説する保存版。 Orbitrap Astralの「30mの非対称トラックとロスレス伝送(80%超)」がなぜ約10倍の速度・感度・分解能を生むのか、 timsTOFのTIMS/PASEFによる4Dプロテオミクス(保持時間×CCS×m/z×強度)、EAD/UVPD/SIDなど解離法の多様化、 DDA/DIA/狭窓DIAの取得戦略、メガダルトンを測るネイティブMS・電荷検出MS(CDMS)とAAV遺伝子治療QC、 そして単一細胞・空間オミクスのMSイメージングまで、2023〜2026年の最前線を入門者と専門家の双方に届ける。