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マイクロプラスチック分析 ― 50 µm 未満の粒子は、個数の 98 % を占めて質量の 0.014 % しかない【2026年版】
分光

マイクロプラスチック分析 ― 50 µm 未満の粒子は、個数の 98 % を占めて質量の 0.014 % しかない【2026年版】

カリフォルニア州は飲料水中のマイクロプラスチックを「1 µm 超〜5,000 µm 未満」と定義したうえで、下限 50 µm の赤外法と下限 20 µm のラマン法を同時に公定法として採択した。定義と方法の下限が食い違ううえ、個数で数える方法と質量で測る方法は同じ試料に逆向きの重みを掛けている。べき乗則の粒径分布で計算すると、50 µm 未満は個数の 98 % を占めながら質量では 0.014 % にしかならない。

RoHS対応の分析実務 ― 判定は白と黒ではなく三値で、臭素とクロムには「不合格」の欄がそもそも無い【2026年版】

RoHS対応の分析実務 ― 判定は白と黒ではなく三値で、臭素とクロムには「不合格」の欄がそもそも無い【2026年版】

RoHS の「0.1 %」は製品中の濃度ではない。ネジを外し、切り、砕いた先の「均質材料」中の濃度である。同じ機器が分母の取り方だけで 37 ppm にも 370,000 ppm にもなる。さらに XRF スクリーニングの判定表は三値で書かれており、臭素とクロムには「不合格」の欄が存在しない。IEC 62321-3-1 は 2026 年 5 月に改訂され、対象が 5 物質から 9 元素に広がった。

TMA・DMAの実務 ― Tg は「136 °C(DSC)」のように装置名とセットでしか報告できない【2026年版】
熱分析

TMA・DMAの実務 ― Tg は「136 °C(DSC)」のように装置名とセットでしか報告できない【2026年版】

ガラス転移温度 Tg は、材料が持つ一つの数値ではない。プリント配線板の公開試験法 IPC-TM-650 は「TMA・DSC・DMA で求めた Tg は、測っている物理量が違うので大きく異なりうる」 と明記し、そのうえで「報告する Tg 値のうしろに、使った試験装置を書け(例:136 °C; DSC, TMA, or DMA)」 と要求している。しかも同じ試験法マニュアルの隣り合う2つの方法が、その差を「最大20 °C」と 「最大10 °C」と別の数字で書いている。本記事は、同一のポリカーボネートを DSC・MDSC・TMA・DMA で 測った実測表、DMA の中だけでも3つ出てくる Tg(E' オンセット 141.8 °C / E'' ピーク 147.1 °C / tanδ ピーク 151.5 °C)、そして荷重・昇温速度・前処理・異方性という測定条件までを、 無償で読める一次資料の条文で追う。

SEC/GPC(サイズ排除)徹底解説 ― その分子量は、標準物質と条件に依存すると局方が書いている【2026年版】

SEC/GPC(サイズ排除)徹底解説 ― その分子量は、標準物質と条件に依存すると局方が書いている【2026年版】

サイズ排除クロマトグラフィー(SEC/GPC)は、分子量を測る方法として使われている。だが日本薬局方 〈2.05〉は、分子量の求め方を説明した直後にこう書いている ――「得られた分子量は、用いた分子量標準物質と 分析条件に依存する」。これは注意書きではなく、この手法の定義そのものである。SEC が分けているのは分子量 ではなく溶液中の広がり(流体力学的体積)で、同じ溶出位置でも棒状のエポキシ樹脂はポリスチレンより 分子量が 40〜50 % 低い。しかも較正の前提は狭分散標準ですら成り立っておらず、30 kDa の単分散標準を 注入量 4 µL と 50 µL で流すと、較正曲線上は 10〜40 kDa と 20〜40 kDa という別々の「分布」に見える ―― 光散乱で測れば、どちらも 30 kDa 付近の狭い分布である。タンパク質側ではさらに厄介で、SEC は測って いる最中に試料を変える。精製した二量体を再注入すると単量体と三量体が生まれ、カラム通過で有意な質量が 失われる。ある抗体では完全回収に 400 mM の NaCl が必要だったが、別の報告では NaCl はむしろ損失を 増やしアルギニンが効いた。分離原理、較正の限界、光散乱による絶対測定、二次相互作用、凝集体分析の 落とし穴までを一次資料の数値で追う。

【徹底解説】DOSY・拡散NMRと混合物解析 ― 拡散軸は「統計的な構築物」である
NMR

【徹底解説】DOSY・拡散NMRと混合物解析 ― 拡散軸は「統計的な構築物」である

DOSY は「NMR チューブの中で行うクロマトグラフィー」と紹介される。だが DOSY を世に出した本人である Gareth A. Morris は 2021 年の論文で「この名前はいくつかの点で誤解を招く」と書き、拡散次元は 「統計的な構築物」であり、信号の位置は真の拡散係数のまわりに散らばると明言している。COSY の F1 軸は 量子力学が位置を決めるが、DOSY の縦軸はフィットの出力であり、ピーク幅はフィットの標準誤差でしかない。 しかも S/N 14400:1 の実測データでも到達した拡散分解能は理論値の 1/35 にとどまる。誤差の主役は ノイズではなく対流と校正である。本記事は Stejskal–Tanner 式・パルス系列の系譜・対流と校正・ 測定パラメータの決め方から、拡散係数を分子量に翻訳する三つの方法(Stokes–Einstein、べき乗則、SEGWE)、 matrix-assisted DOSY、そして 2024〜2026 年のベンチトップ DOSY による GPC 代替までを原典で確認して整理する。

TGA徹底解説 ― 50 ℃/min で測ったほうが、10 ℃/min より分離がよかった【2026年版】
熱分析

TGA徹底解説 ― 50 ℃/min で測ったほうが、10 ℃/min より分離がよかった【2026年版】

TGA が返す「分解温度」は物質の定数ではなく、昇温速度の設定に付いてくる数字である。速く上げれば高温側へずれ、近接したステップは重なる——というのが一般則だが、昇温速度を試料の分解速度に決めさせる Hi-Res TGA では、50 ℃/min のほうが標準の 10 ℃/min より分離がよくなる。Modulated TGA を使えば活性化エネルギーを転化率の関数として1回の測定で追える。原理・DTG の読み方・雰囲気とパン・EGA・速度論までを、メーカー公式資料の原文にあたって整理する。

DSC徹底解説 ― 目立つのはピークだが、材料の限界を決めているのは段差のほうである【2026年版】
熱分析

DSC徹底解説 ― 目立つのはピークだが、材料の限界を決めているのは段差のほうである【2026年版】

DSC 曲線でまず目に入るのは融解や結晶化のピークだが、材料の使用温度上限を決めているのはガラス転移の段差のほうである。両者は同じ熱流方程式 q = Cp(dT/dt) + f(T,t) の別々の項から来ていて、段差は第1項(熱容量)、ピークの多くは第2項(速度論)に現れる。段差は昇温速度に比例して小さくなり、装置のベースラインが曲がっていれば存在ごと消える。熱流束型と入力補償型の違い、Tzero/T4P と FlexMode、MDSC・Flash DSC までを、メーカー公式仕様の原文にあたって整理する。