近赤外分光(NIR)とPAT ― その数値を出しているのは、装置ではなくモデルである【2026年版】
NIR は前処理なしで粉体の数mm奥まで潜り、非破壊で水分も含量も出す。だが装置が出しているのは スペクトルであって数値ではない。含量 98.7% という値を出しているのは検量モデルであり、 そのモデルは参照分析法の値を教師として作られている。だから日本薬局方〈2.27〉は 「既存の分析法を基準として比較試験を行い、その同等性を確認しておく必要がある」と書き、 EMA のガイドラインは NIRS を method・model・procedure の三層に分け、 「Ph.Eur. 2.2.40 を引用するだけでは不十分」と明言する。ICH Q2(R2)(2023年)は 多変量分析法を正式にバリデーションの対象に取り込んだ。本記事は JP〈2.27〉原案・EMA ガイドライン・ ICH Q2(R2)・メーカー技術資料・査読論文を原典で確認し、NIR を PAT として運用するときに 効いてくる条件を、装置ではなくモデルと手順の側から整理する。