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メタボロミクスのLC-MS実務 ― 検出した25,230の特徴量は、892の分析種だった【2026年版】
質量分析

メタボロミクスのLC-MS実務 ― 検出した25,230の特徴量は、892の分析種だった【2026年版】

ノンターゲットのLC-MSメタボロミクスでは、1回の測定で数万の「特徴量(feature)」が検出される。 しかしその数は測定できた代謝物の数ではない。大腸菌の実データを系統的に注釈した研究は、 25,230の特徴量が892のユニークな分析種にまで減ることを示した。28分の1である。 本記事は、なぜ1つの代謝物が何十もの特徴量に分裂するのか、その縮退が統計の検出力をどう削るのかを 原著の数値で追い、そのうえでプールQCの置き方・受入基準(検出率・RSD・D-ratio)・ シグナル補正という品質管理の実務を、ガイドライン論文と109報の実態調査から整理する。

イオン源の選び方 ― 専用ESIと専用APCIは「別の89%」を拾う【2026年版】
質量分析

イオン源の選び方 ― 専用ESIと専用APCIは「別の89%」を拾う【2026年版】

イオン源の選定は「極性と分子量のチャートを見て決める」と教わる。しかし Agilent が公表した実測では、 医薬品と中間体のテストセットに対し専用APCI源が 89%、専用ESI源が 89% を検出し、しかもその 89% は 「別の 89%」だった。つまり ESI か APCI かの選択は、必ず取りこぼしを生む。本記事は NIST WebBook のプロトン親和力・イオン化エネルギーを一次データとして、ESI・APCI・APPI・EI・CI・NCI が 「気相でイオンにできる条件」を数値で整理し、そのうえで流量(ESI は 10 nL/min → 1 mL/min で 消費量 10万倍・シグナル 20倍)、マトリックス効果(イオン抑制で血漿濃度が最大 5.5 倍の過小評価)、 複合イオン源の妥協点、そして GC 側の 70 eV EI が抱える「NIST ライブラリの約 30% に分子イオンが無い」 という代償までを、メーカー技術資料と査読論文の原典から確認して示す。 出発点として、第十九改正日本薬局方〈2.62〉が EI に「分子量 1000 程度以下」、APCI に「1500 程度以下」と書きながら ESI にだけ上限を書かなかった理由を、多価イオンの式 m/z = M ÷ n + 1.007 で読み解く(分子量 148,000 の抗体は m/z 3,000 の四重極なら 50 価で届く。筆者計算)。

質量分析計の選び方 ― カタログの S/N 100 は、局方の式で計算し直すと 40 になる【2026年版】
質量分析

質量分析計の選び方 ― カタログの S/N 100 は、局方の式で計算し直すと 40 になる【2026年版】

質量分析計の選定は「どれが一番高感度か」では決まらない。測る対象が決まっているなら トリプル四重極(QqQ)のMRMが依然として定量の王道であり、決まっていないなら高分解能精密質量 (Orbitrap・Q-TOF)でしか後戻りできない。本記事は、Thermo・Agilent・SCIEX・Waters の 公表スペックを原典から拾って比較したうえで、カタログの感度スペックが なぜメーカー間で横並び比較できないのか(S/NとIDL、測定化合物と注入量、ノイズの定義)を 具体的に示す。ノイズを RMS で取るカタログの S/N と、ノイズ幅(最大−最小)で取る日本薬局方〈2.00〉の S/N は、同じピークでも約 2.5 倍ずれる。目的別の選択基準と、導入前に確認すべき設置条件までを整理する。

オリゴ核酸医薬の不純物解析 ― IP-RP・HILIC・2D-LC-MSで複雑なプロファイルを解く

オリゴ核酸医薬の不純物解析 ― IP-RP・HILIC・2D-LC-MSで複雑なプロファイルを解く

アンチセンス(ASO)やsiRNAなどオリゴ核酸医薬の不純物解析を、原理から実務まで出典つきで解説する。 固相合成由来のショートマー(n-1)/ロングマー、脱プリン、ホスホロチオエート(PS)→PO変換やPSジアステレオマーという 難物を、ゴールドスタンダードのIP-RP LC-MS、直交するHILIC、そしてハートカット2D-LCのオンライン脱塩で解きほぐす。 HFIPとPFAS問題、非特異吸着(NSA)対策、HRMS/イオンモビリティ、EMA 2024の閾値まで、入門者にも専門家にも届く形でまとめる。