SEC/GPC(サイズ排除)徹底解説 ― その分子量は、標準物質と条件に依存すると局方が書いている【2026年版】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC/GPC)は、分子量を測る方法として使われている。だが日本薬局方 〈2.05〉は、分子量の求め方を説明した直後にこう書いている ――「得られた分子量は、用いた分子量標準物質と 分析条件に依存する」。これは注意書きではなく、この手法の定義そのものである。SEC が分けているのは分子量 ではなく溶液中の広がり(流体力学的体積)で、同じ溶出位置でも棒状のエポキシ樹脂はポリスチレンより 分子量が 40〜50 % 低い。しかも較正の前提は狭分散標準ですら成り立っておらず、30 kDa の単分散標準を 注入量 4 µL と 50 µL で流すと、較正曲線上は 10〜40 kDa と 20〜40 kDa という別々の「分布」に見える ―― 光散乱で測れば、どちらも 30 kDa 付近の狭い分布である。タンパク質側ではさらに厄介で、SEC は測って いる最中に試料を変える。精製した二量体を再注入すると単量体と三量体が生まれ、カラム通過で有意な質量が 失われる。ある抗体では完全回収に 400 mM の NaCl が必要だったが、別の報告では NaCl はむしろ損失を 増やしアルギニンが効いた。分離原理、較正の限界、光散乱による絶対測定、二次相互作用、凝集体分析の 落とし穴までを一次資料の数値で追う。