標準物質・検量線・トレーサビリティ ― 相関係数 0.999 を満たした検量線の 95 % で、定量下限が ±20 % を外れていた【2026年版】
「トレーサブルな標準物質を使っています」と言うとき、何がトレーサブルなのか。国際計量計測用語集(VIM)の定義では、 計量トレーサビリティは「測定結果の性質」であって、標準物質でも装置でも研究機関でもない。しかも VIM は続けて 「トレーサビリティは、不確かさが目的に対して十分であることも、間違いが無いことも保証しない」と明記している。 では何が答えを決めるのか ―― 検量線の引き方である。1〜1000 の 10 点を、点はまったく同じまま重み付けだけを 変えて 20000 回引き直したところ、定量下限の相対誤差の標準偏差は 361 % と 2.3 %、ICH M10 の ±20 % を外れる確率は 95.4 % と 0.0 % に分かれた(筆者シミュレーション)。しかも相関係数は 0.999 を超えている。ICH Q2(R2) は 重み付けに一言も触れていないが、同じ文書が「残差プロットの非ランダムなパターンを評価せよ」と書いている。