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LC装置本体の選び方 ― カタログの耐圧より、ドウェル容量がメソッドの移管可否を決める【2026年版】

LC装置本体の選び方 ― カタログの耐圧より、ドウェル容量がメソッドの移管可否を決める【2026年版】

LC 装置のカタログを開くと、まず目に入るのは最高使用圧力である。だが装置を入れ替えたときに実際に困るのは 圧力ではない。**グラジエントが形成される点からカラム先端までの容量 ―― ドウェル容量**である。 Waters は同社システム間のペプチドマッピング移管で、Arc Premier(1080 µL)から Alliance iS Bio(1669 µL)へ 移したときに保持時間が 0.64 分ずれたと報告している。差は 589 µL。この 0.6 mL 弱が、システム適合性を 落としうる。しかも影響は一様ではなく、ドウェル容量が小さいと早く溶出するピークの分離は悪くなり、 遅く溶出するピークの分離は良くなる。混合モード相では溶出順序そのものが変わった例もある。 本記事は、ドウェル容量の定義と 2 通りの測り方、実機の公称値、移管時に起きること、差の容量ぶんだけ グラジエントを前倒しする補正、高圧混合と低圧混合の選択、定流量と定圧の違い、1250〜1500 bar という 現行の耐圧が何を買うのか、そして 2 µL² の装置分散がピーク生成速度を半分にする話までを、原著の数値で追う。

LC-MSトラブルシューティング ― 同じ 0.01 % のキャリーオーバーが、検量線を 3 桁から 4 桁に広げただけで不合格になる【2026年版】
質量分析

LC-MSトラブルシューティング ― 同じ 0.01 % のキャリーオーバーが、検量線を 3 桁から 4 桁に広げただけで不合格になる【2026年版】

ICH M10 はキャリーオーバーの受容基準を「ULOQ の直後のブランクで、LLOQ の応答の 20 % 以下」と書いている。 この基準は装置のキャリーオーバー率そのものではなく、検量線の幅で合否が決まる。ULOQ の 0.01 % が残る装置は、 検量線が 3 桁なら LLOQ の 10 % で合格、4 桁に広げると 100 % で不合格になる(筆者計算)。内標は「IS 応答の 5 %」で、 こちらは検量線の幅に依らない。本記事はこの一点を軸に、LC-MS が「昨日まで出ていた感度が出ない」「ブランクにピークが出る」 となったとき、勘に頼らず原因を切り分ける手順を整理する。ダイレクトインフュージョンで LC 側と MS 側を分ける divide-and-conquer、 感度低下の最頻原因であるイオン源汚染、見えない感度低下=イオン抑制(Bonfiglio 1999 のポストカラムインフュージョン、 Matuszewski 2003 の絶対/相対マトリックス効果、M10 の ±15 %)、TFA がシグナルを殺す機構と Apffel 1995 の対処、 PEG・フタル酸エステルなど背景汚染の代表 m/z、アダクトとインソース分解による誤同定までを、一次資料の原文で確認して書く。