GC-MS/MS 残留農薬分析の実務 ― マトリックス効果が「増強」に転ぶGCでは、対処も逆になる【2026年版】
LC-MS/MS のマトリックス効果は「抑制」だが、GC のそれは多くの場合「増強」である。原因も違う。 イオン化の競合ではなく、注入口とカラム先端の活性点をマトリックスが埋めてしまい、 溶媒標準では失われていた分析種が試料中では失われずに済む ―― つまり標準側が低いのだ。 符号が逆なので、対処も逆向きになる。EU の SANTE ガイダンス自身が「マトリックスマッチ検量線は LC-MS より GC でこそ効く」と書いており、GC 固有の解としてアナライトプロテクタントを名指ししている。 ただし 2026 年、EURL-FV が参画した論文が「糖・糖ラクトンを使う従来のアナライトプロテクタントは 反復注入のルーチンには適さない」と報告した。規制側も動いており、SANTE/11312/2021 の v2026 では 同定基準から S/N ≥ 3 が取り消し線とともに消えている。本記事は SANTE v2026・日本の通知試験法と 妥当性評価ガイドライン・告示を原典で開いて確認し、前処理から水素キャリアガスまでを整理する。